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道央

HKFA(北海道サッカー協会)副会長・MFA(室蘭地区サッカー協会)副会長 大岩 真由美さん【伊達市】

W杯の経験を糧に、サッカーの普及に努める

1972年室蘭市出身。1995年に北海道女性初のJFAサッカー2級審判員を取得。2005年には日本女性初となるJFAサッカー1級審判員を取得。アジアをはじめ、全世界の数々の試合で審判を務める。2015年の女子ワールドカップでは決勝戦を担当。現在はインストラクターとして後進の育成に励む。

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きっかけ
 私がサッカー界に足を踏み入れたのは、自身が中学生の頃、テレビで地元の高校(当時の室蘭大谷高校サッカー部)が全国3位となった試合を観て、魅了されたことがきっかけでした。高校卒業後、縁あって地元のサッカー少年団のコーチとして声を掛けていただき、ルールを覚えるために審判の勉強を、また、自身もプレーをしてみたかったので、子どもたちの送迎に来ていたお母さんたちと一緒に女子チームを作ってプレーを楽しめるようになりました。当時女性審判員はほとんどいませんでしたが、ちょうど女子サッカーを盛り上げようという協会や世の中の機運もあり、周囲のサポートのお陰でここまで歩んでこられました。
苦労
 私が始めた当時約30年前のサッカー界は完全に男性社会でしたので、女性が、しかも試合を裁く「審判」を務めることには批判も多かったです。「女性で大丈夫か?」「女性は当てないでくれ!」と残念な言葉もたくさん受けました。「ここで私がミスしたら、女性では無理だと証明してしまう、それだけは避けなければ」と、常にプレッシャーと闘いながらの日々でした。もちろん男性の試合を同じように走って審判するためには筋トレや体力づくりが欠かせませんし、それと並行した英会話力の向上なども必要で、なおかつプロではないために本業との両立が難しく、転職が増えるなどの苦労もありました。
満足度
 審判活動で日本女性初の1級を取得し、その後、目標としていた女子ワールドカップに選出され、決勝の審判を務めることができました。そのまま現役を続けることもできたのですが、潔く引退。今度は女性初の「審判インストラクター」という道を与えて頂きました。一人でも多くの仲間(女性審判員)が世界の舞台に立てるように、そして私一人の実績ではなく、皆で歴史をつなげていきたいという思いを持っています。満足度としてはまだまだですが、今、女性審判員やインストラクターが少しずつ増え、継続して世界の舞台で活躍してくれている姿を見ると、私が歩んできた道が間違っていなかったと実感できています。
これから
 講演会など、自身の経験を基に、「発信」する活動を続けていきたいと思っています。特に、最近ではスポーツ界に限らず、地域・教育・メディア・個人団体さまざまなところから私の活動について興味を持っていただく機会が増えてきました。そのため、サッカーに関する活動だけに留まらず、女性としての私の経験をお伝えする場をもっともっと増やしていきたいです。学生の方には道徳の授業やキャリア教育として、社会人の方には男女共同参画や生涯学習等の観点から、私の経験を多くの方に知っていただくことが、ひいてはサッカー界を盛り上げることにもつながっていくのではないかと考えています。

北の☆女性たちへのメッセージ

私の好きな言葉は、「一歩前にいる自分に会いに行こう!」です。かつて悩んでいた際、恩師に「お前が歩けば道ができる」という言葉をもらいました。一歩進めばすでにそこはふりだしではなく、どんな形であれ歩いた道ができます。みなさんも一歩踏み出してみましょう!

取材年月日:
2024年2月