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オホーツク

合同会社川瀬牧場 GYUGYU-TTO terrace 川瀬 保子さん【津別町】

家業を盛り上げながら、自己実現も諦めない

1965年津別町出身。夫の家業である和牛肥育を手伝いながら、2014年には東京農業大学オホーツクものづくり・ビジネス地域創生塾を第3期生として修了。2015年、自宅の隣に加工品の直売所兼カフェ「GYUGYU-TTO terrace」を開業。自家製の牛肉ソーセージのホットドッグなどを提供している。

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きっかけ
 農家の嫁として生活する中でも、「自分らしい何かをやりたい」と自己実現のかたちを模索してきました。ファームインをする中でアロマやハーブなどを学んだこともありましたが、家業に結び付かないことが気になって続けられず…。あるとき、夫から「牛肉を加工して販売してみたい」との言葉を受け、家業に結び付けて自己実現をするチャンス到来と思い、東京農業大学創成塾第3期生として入塾しました。授業の際に発表などがあり、プレゼンなどやったこともない人生でしたので正直なところかなり戸惑いながらではありましたが、着実に成果を求められる環境に身を置いたことで、具体的に夢が実現していきました。
苦労
 初めてのことばかりで、まずは食肉や食肉加工品を製造販売することのハードルの高さにぶつかりました。どうしたら販売できるのか、実際に商品を委託製造してもらって販売できるようになるまでの手続きや、ラベルづくりや品質表示の決まりなど細々とした仕事まで未知の世界のことだったので一つひとつ積み上げていくことが大変でした。その後、直売所と週末カフェを開業したのでその準備から営業に至るまでの準備、開業したらしたで経営の難しさを経験することになりました。気が付けば開業してから10年が経ちますが、今でも諸々の悩みはつきません。それでも、喜んでくれるお客さんがいるから続けられています。
満足度
 創生塾での成果を出さなくてはと必死で開業に漕ぎ着けましたが、続けていくうちに、家業を営む中では知ることができなかった、消費者の方から直接いただける感想やカフェでの人と人との触れ合いを経験することができ、それがやりがいに繋がっています。また、些細ではありますが食育活動にも結びつきができたことや、SNSで発信することで遠くからお客さんが来訪してくれることにも喜びを感じます。まだまだではありますが、利益を生む喜びも得られています。「何かしたい」とずっと思いながらなかなか行動できなかった過去の自分と比べて見ると、ひとまずは、自己実現という目標は達成できていると思います。
これから
 夫からは「継続は力なり」とよく言われます。お客さんが少ない時や、自分のコンディションが良くないときには辞めたいなと思ってしまうこともありますが、なにはなくとも続けること、と考えています。とはいえ自身も年齢を重ねてきたので、あと何年できるかな?と悩ましく思うことも出てきています。そのため、GYUGYU-TTO terraceの活動自体を大々的に広げていくことは考えておらず、母体である牧場の経営の変化を考慮しつつ、今できる活動を地道に続けていくことが最近の目標です。新しい取り組みとしては、できれば、うちの牧場の牛肉を中心とした「牧場でバーベキュー」をやってみたいと思っています。

北の☆女性たちへのメッセージ

日々家業に追われる毎日の中にも、きっとチャンスはあります。あきらめずに、どうしたら実現できるかを考え、チャンスを見逃さずキャッチしてください。私は、準備不足で苦労したことがたくさんあるので、情報を集めてその時に備えた準備をすることも大切だと思います。

取材年月日:
2024年2月