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道央

一般社団法人umanowa代表 糸井 いくみ さん【新ひだか町】

馬との出会いが人との出会いに。馬を通して「つながる」・「むすぶ」

2016年に新ひだか町の地域おこし協力隊として着任し、馬産地の資源を活かした「ひだかうまキッズ探検隊」の企画・運営を行う。2020年に起業し、協力隊の任期終了後も引き続き、町から「馬産地の人づくり業務」を受託するほか、馬産地のPR、グッズの製作販売なども手掛け、馬にまつわる情報発信をしている。

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きっかけ
 札幌で会社勤めをしていた頃、乗馬体験をきっかけに馬の魅力の虜になり、それからの数年間はアルバイトを掛け持ちしながら乗馬に通うという馬中心の生活を送っていました。そんなとき、日本一の軽種馬産地・新ひだか町の「馬力本願プロジェクト」を担当する地域おこし協力隊員の募集があり、思い切って応募。「馬のために自分ができること」を模索しながら活動し、3年ほどの任期の終盤、これからも馬を通して人と人をつなぐ仕事を続けたいという思いから、2020年に一般社団法人umanowaを設立し起業。協力隊での業務を町から受託するという形で継続しながら、新しい取組にも挑戦し、活動の幅を拡げています。
苦労
 地域おこし協力隊では、年間を通して軽種馬産業を楽しく学ぶ「ひだかうまキッズ探検隊」を立ち上げ、子ども達に地元の基幹産業を知ってもらう活動を行いました。年間10回ほどのプログラムで、馬に関わる様々な仕事に触れ、将来の人材輩出を目標とする事業ですが、最初の頃は行政と現場の立場や考え方の違いで板挟みとなり、戸惑いも多く、心が折れそうになることも。けれど私の思いに賛同し、忙しい中でも協力してくれる地元馬産業の皆さんや、馬のことをもっと知りたいと目を輝かせる子ども達の姿に励まされながら、将来のスター馬と触れあうという、ものすごく貴重で贅沢な体験を子ども達と一緒に続けています。
満足度
 探検隊の活動や小中学校での授業で、子ども達は馬や馬産業に関わる多くの方々に出会い、つながり、そこに感動が生まれます。その瞬間に立ち会えることが私の喜びに。また、活動のもうひとつの柱として新たに始めた、新ひだか町出身の競走馬のオリジナルグッズの製作販売では、「そばに置いて大事にしたくなるもの」を目指し、こだわって作ったものをお届けしています。全国の競馬ファンのお客様にグッズを通じて活動を知ってもらえることも、とても嬉しい。どの活動にも共通して、馬と人、そして人と人との出会いがあり、つながっていく。そんな喜びをくれる馬たちに、本当に感謝しています。
これから
 馬産地では、生産牧場、育成牧場、獣医師、装蹄師、調教師等々、様々な業種のたくさんの人達が関わり、2年間かけてデビュー前の競走馬を育てています。子ども達には馬と関わり産業や文化に触れることで、将来馬産業の担い手となったり、いずれは競馬で世界を目指す子も出てきてくれたらと夢は尽きません。また、この取組が地域に必要なものとして、将来に渡り続けられるように、いずれこの役割を引き継いでもらえる体制づくりも必要だと思っています。これから何をするのかはまだわからないけれど、自分が馬とどう関わっていきたいのかを考えつつ、直感を信じて新しいことにも挑戦していきたいと思っています。
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北の☆女性たちへのメッセージ

やってみないことには何もわかりません。やってみて失敗があったとしても、それは次に繋がるプロセスに過ぎないと思います。やりながら次の手を考えて…をひたすら繰り返していくと、自分だけにしか見えない未来の道がうっすらと見えてくるものだと思っています。

取材年月日:
2022年11月22日