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道北

工房レティエ あぐりネット宗谷(有)代表取締役社長 田中 あも【豊富町】

大地の恵みをふんだんに、こだわりの商品を届ける

1990年生まれ、豊富町出身。工房を立ち上げた父親の引退後、経営を引き継ぎ、自家製牛乳を使って乳製品を製造、販売する6次産業に取り組んでいる。

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きっかけ
 35年前、父が移住して牧場を始め、その後工房レティエを開業しました。7年前に私が経営を引き継いで、姉がチーズやジェラートを作り、私が販売をしていたのがそもそもの始まりです。現在は牧場を営む夫と二人で経営しています。夫は2020年の秋に両親の営む牧場から独立して、工房の近くで牧場を始め、加工に向いた乳質のジャージー種やブラウンスイス種の他、国内では数百頭しか飼育されていないガンジー種など、30頭ほどの牛を育てながらチーズを作り、私はカップアイスやジェラート作り、カフェと会社全体の経営をしています。二人のこだわりを形にした商品を多くの人に喜んでいただくため、心を込めて作っています。
苦労
 酪農の多くは、乳質や乳量の安定のため、輸入飼料やサイレージを使いますが、我が家は放牧にこだわり、牧草メインでやっているため、日によって乳成分も味も変わります。チーズもアイスもその日の乳成分によって作り方や材料の配分割合などを変えるなど、試行錯誤と工夫を重ねて作らなければならず、とても大変。でもそれが楽しさでもあります。カフェに来てくれるお客さんも、そんな味の違いも楽しみながら、「レティエのアイスは飽きない」と喜んでくれるので、いつも感想を聞き、よりおいしく作る方法を模索しています。小さな工房だからこそできる楽しみ方ですね。
満足度
 材料にも製法にもこだわり、良いものを作りたい。そんな思いで、自分がやりたいことをやっているのですが、それをお客さんに喜んでいただけるのはとても嬉しいこと。本来あるべき姿に近い環境で育った牛から搾った牛乳で、添加物を一切使わず、本質にこだわった乳製品を作ることが私の喜びです。でもこだわり一辺倒では経営が成り立たないので、そこはバランスを考えながら、なるべく多くの人に買っていただけるものを作るようにしています。特にコロナ下で観光客が少なくなり、地元のお客さんに来ていただくことの大切さを感じたので、皆さんに喜んでもらうことを第一に考えています。
これから
 豊富町で生まれ、家族で酪農をしながら育った私にとって、この町で酪農をしながら6次産業に取り組むことは、とても自然なことだと感じています。私は、伝えたいことは言葉を並べるのではなく、形にして表現するものだと思っており、それが工房レティエでの日々の積み重ねなのです。商品作りやカフェで私の思いを表現して、地域の人達に「レティエがあって良かった」と思ってもらえる存在になりたいです。そして、豊富町の大自然の恵みを感じられるような、こだわりの詰まった商品を少しずつ増やしていけるよう、夫と二人三脚で、これからも作り続けていきたいです。
  • 田中さんイメージ1
  • 田中さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

 6次産業を始めるのは初期投資が大変と思われがちですが、あまり構えずに、できることや小さなことからチャレンジしてみてください。女性には固定概念にとらわれず、何にでも挑戦できる力があると思うのです。ちょっとくらい失敗しても大丈夫!女性は無敵です!!

取材年月日:
2022年3月18日