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道南

縄文DOHNANプロジェクト代表 山田 かおり さん【函館市】

「縄文の心」で育てた誇りと郷土愛を次の世代へ

道外での就業を経て、故郷の函館で山田総合設計株式会社に勤務。湯倉神社氏子青年会で地域活動に関わる中で2019年に縄文イベントを開催。イベント協力者を中心に「縄文DOHNANプロジェクト」を発足し代表を務める。また、地方創生カレッジin函館の統括マネージャーも務める。

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きっかけ
 高校卒業後しばらく地元を離れて暮らす中で函館の良さに気付いた私ですが、10年ほど前にUターンした時、私の知るまちと比べずいぶんと寂しい印象を受け、違和感を覚えました。観光地としてはとても人気があるのに、このままでは地域が取り残されてしまうのではと不安に感じていた時、以前から関わっていた地域活動で縄文をテーマにイベントを開催することに。その中で、縄文時代は1万年以上争いもなく、自然や物に感謝する気持ちを持って助け合いの精神で暮らしていたということを知り、「縄文の心」が、まさに今の函館のまちをつなぐキーワードになると直感。イベントの翌月、産学官民の有志で「縄文DOHNANプロジェクト」を立ち上げました。
苦労
 縄文の世界遺産登録を間近に控えながら地域の関心が想像以上に薄れている現状を目の当たりにし、関心を持ってもらう方法を模索する中、中空土偶をモチーフにした縄文キャラクター「カックー」が誕生。オリジナルグッズに加え、子どもから大人まで楽しくわかりやすく縄文を学べる紙芝居を制作し、遺跡見学に向かう小学生に事前授業を行ったことで、縄文への関心が目に見えて高まりました。世界遺産登録までたった2年というタイミングで発足し、一気に走り出したプロジェクトで、目の回るような日々でしたが、その甲斐あって、地域を挙げて2021年の登録の日を迎え、喜びを分かち合うことができました。
満足度
 学芸員さんに協力いただき、「はじめてのJOMONガイドツアー」を開催しました。楽しく縄文を学べるプログラムを考えて、バスの中でも紙芝居やクイズで盛り上がり、ツアー終了後には、参加者の数名が新たなメンバーとして活動に加わることに。地域の関心を高め、縄文から郷土愛の育成にも繋げていくことを願って10数名でスタートしたこのプロジェクトですが、活動の輪が広がり、更に仲間が増えています。また、地元企業とのタイアップ企画も進み、更には函館だけでなく道南圏の市町の方々の協力も得て、道南全体で世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」を盛り上げる活動に発展しました。
これから
 縄文紙芝居は、地元の学校や学生、函館にゆかりのある方々に協力いただき、多言語への翻訳と映像化を行い、世界に向けて映像を発信しています。また、子ども達にも積極的に関わってもらうことで地域に関心を持ち、郷土愛が育っていくことを願い、日本語版には地元の小学生に出演してもらいました。次の世代にも「縄文の心」を伝え、この貴重な世界遺産を地域の宝として大切に守り、ふるさとを誇りに思う気持ちをつなげていきたい。そのためにも今後は道南地域に留まらず、縄文を通じて青森などの他県とのつながりも構築し、より多くの人に縄文の魅力を伝える活動を続けていきたいと思っています。
  • 山田かおりさんイメージ1
  • 山田かおりさんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

大きな事ではなくても自分のできる範囲で地域のために動くことがまちづくりへの一歩です。

まちが好きで関心を持つ人が増えていくことが、地域の力になると思います。

出来ることは皆さまざま。個性豊かに認め合って、楽しく活動していきましょう。

取材年月日:
2022年11月8日