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道央

食×Well-being「good food,good life」代表、執筆家、産学連携コーディネーター 和田 順子 さん【札幌市】

次世代に誇れる社会を残したい。「食」の分野でのチャレンジ

群馬県出身。会社員を経て北海道に移住。子育て中の母親が特技やスキルを生かして自分らしく輝ける場や、子育て世代と地域を支える人が、地産地消や地域産業について学ぶ場を通じて交流できる事業を企画運営。現在は食のSDGsに関するイベントやセミナーを各種開催。北海道の社会・地域課題解決を行う経済産業省事業「チャレンジフィールド北海道」のコーディネーターも兼務。2児の母。

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きっかけ
 北海道に移住後、子育てをしながら1~2年おきに転勤する生活の中で孤独を感じていましたが、羽幌町で同じく子育てをする母親達に声をかけ、子連れで特技やスキルを教え合う「羽幌ままなび」というサークルを立ち上げました。子育て中の母親は地域や社会との交流が少ないことに気づき、地域の方に協力していただき、稲刈り体験や漁協見学を通じた交流の場をつくりました。もともと食に興味があり子育て中に食関連の資格を取得したので、札幌に転居後は食育教室を主宰。子どもと母親がのびのびと過ごし、楽しみながら食への関心を高めたり、地産地消を含めた食のSDGsについて理解を深められるイベントなどを開催しています。
苦労
 知り合いがいない地域でワンオペ育児となり孤独を感じていた時期もありましたが、「失敗はしてもいい、後悔はしたくない」と勇気を出して一歩を踏み出したことで生きがいを見つけることができ、後の起業につながりました。コロナ感染拡大以降は対面での場づくりができない状況が続く中、オンラインイベントにも挑戦。生産・流通など様々な立場で食に携わる方々と消費者との対話を通じた相互理解のイベントを企画・運営しました。今はもっと別の視点からも社会や地域の課題に取り組んでみたく、「チャレンジフィールド北海道」でコーディネーターの仕事もしています。いろいろな方から学びをいただき、失敗もしながら私なりに邁進しています。
満足度
 2016年から「サルベージ・パーティ®」というフードロスを楽しく減らすイベントを行っています。そのなかで、私たちひとりひとりの行動の集積が社会のあり方そのものだと感じました。そこで現在は取り組みの幅を広げ、食料不足や地産地消など食全体のSDGsを対象とし、食の大きな問題を個人レベルで考え行動できるようなイベントやセミナーを行っています。次世代に大きな宿題は残せないなと身が引き締まる想いです。これらの活動を評価していただき、令和3年度北海道男女平等参画チャレンジ賞を受賞。鈴木知事も大変興味を示してくださり、私の話にも熱心に耳を傾けていただいたことがとても印象に残っています。
これから
 自然環境の悪化が進むなか、個人と社会と自然環境すべての「Well-being~満たされた状態、幸せ」をどう両立させるのか。私は得意分野である「食」の切り口から考え続け、トライアル&エラーを繰り返しながら、少しずつ進めていくことがまず自分にできることだと考えています。一方目の前には育ち盛りの子どもがいて毎日目まぐるしく、自分ひとりでできることもそう多くないと感じます。そこで、想いを同じくする方とつながり、共にアクションを起こす方法についてもこれから力を入れて取り組み、次世代に誇れる社会を残すために食の分野でのチャレンジを続けていきたいと思っています。
  • 和田順子さんイメージ1
  • 和田順子さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

私は、自分のように孤独を感じる人の手助けがしたいと思ったことが今の仕事につながっています。小さな「誰かを想う」行動の積み重ねが社会を支え、ひいては自分自身も幸せにしてくれると思います。経済活動だけが社会を支えているわけではありません。自分の身の回りの気づきから、小さくても大切な一歩を踏み出す人がたくさん増えればいいなと思います。

取材年月日:
2022年8月1日