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十勝

ばんえい競馬騎手 竹ヶ原 茉耶 さん【帯広市】

努力しても報われない日もある。でも努力なしでは勝てない

1982年生まれ。青森県おいらせ町出身。ばんえい競馬馬主の父親の影響で興味を持ち、高校卒業とともにばんえい十勝に勤務。ばんえい競馬をけん引する唯一の女性騎手として第一線で活躍している。

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きっかけ
 もともと動物が大好きで、将来は動物に関わる仕事をしたいと思う一方で、めずらしい仕事に就きたいという夢もありました。馬の存在は幼い頃から父に連れられて行った競馬場で身近なものでもあり、小学5年生のある日、家で馬を飼いはじめ、草ばんばを観る機会もできました。その後、ばんえい競馬のレースのビデオを観て、普通の競馬とも草ばんばとも全然違うばんえい競馬に魅せられ、それに関わる仕事をしてみたい!と思ったのが始まりでした。中学生の頃にはばんえい騎手になると決め、高校卒業とともにばんえい競馬の世界に入りました。
苦労
 「ばんえい唯一の女性騎手」とよく言われますが、女性だからという理由での苦労は感じたことがないですし、「女性だから不利」とも思いません。性別を言い訳にしたり、周りから気を遣われるようでは、騎手としてはやっていけないと思っています。苦労したことといえば、騎手免許試験の時でしょうか。中学の時には騎手になると決めていて、中学・高校と勉強をせずに過ごしてきた結果、教養試験でつまずいてしまいました。親から言われた「勉強しないと後で困る」が身にしみて、激しく後悔しながら勉強し直し、4度目のトライでようやく合格。23歳で騎手デビューしました。
満足度
 ばんえい競馬は、最後の最後までどの馬が勝つかわからないレース展開が魅力だと思っています。騎手も調教師も厩務員も馬の体調や調教に気を遣い、万全の状態でレースに望めるよう準備を整えますが、能力の高い馬がいつも勝つというものではありません。生き物ですから、体調や気分の他、調教が合わないなどちょっとしたことも影響してレースの行方を左右します。そして、色々なタイミングがうまくかみ合ったときに勝ちにつながるのです。それぞれの馬の能力や癖に合わせて乗り、馬の能力を最大限に引き出して一着をとった瞬間は、やはり最高の喜びを感じます。
これから
 現役生活はまだまだ続くと思うので、これからも1本1本のレースに集中しながら騎手として成長し、ばんえいファンの皆さんに楽しんでもらいたいです。騎手の世界でやっていくには自分で努力し続けるしかありません。これからも馬たちとのコミュニケーションを大切にしながら、騎手という仕事に向き合っていきたいです。現役生活の後のことはまだ何も考えていません。モチベーションと体力を保っているうちは、騎手として勝負の世界で生きていきたいと考えています。また、ばんえい競馬の未来のためにも、騎手を目指す後輩達に諦めずに目標に向かって努力してもらいたいと願っています。
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北の☆女性たちへのメッセージ

騎手の世界に限らずですが、男性ばかりの中で対等に渡り合うには、いちいち男だ女だと言っていられません。プライドとして特別扱いされないくらいでちょうど良いと割り切り、「女性として」ではなく「自分」の道を切り開いていきましょう。

取材年月日:
2022年2月3日