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道東

知床スミレ・エコプロジェクト【羅臼町】

手を取り合い未来へつなぐ。大切なふるさとへの思いを胸に

2007年、羅臼町を後世に引き継いでいくために羅臼町内において伝統的に女性活動に取り組んできた「羅臼町女性団体連絡協議会」、「羅臼漁業協同組合女性部」、「羅臼町商工会女性部」の3団体が手を取り新たに組織した。エコ活動やまちづくりへの取組で、令和3年度北海道男女平等参画チャレンジ賞を受賞。

きっかけ
 世界自然遺産知床羅臼の自然を守り、自分達の暮らす町への思いを胸に「羅臼町の女性ができること」を皆で考え、3団体が手を取り活動しています。まず取り組んだのは「地産地消」をテーマにした「知床らうす秋まつり」。男性はサポートに徹して女性達が力を発揮し、子どもから大人まで多くの町民が参加する一大イベントを10年間続けました。その後新たな取組を検討し現在行っているのが「おさかな石鹸」の製造・販売と「知床羅臼GARDEN PROJECT」です。新たな活動を行うため、町のふるさと納税に連動したクラウドファンディングに取り組み、皆さんにご協力いただいた資金で事業を実施しています。
苦労
 「おさかな石鹸」は、元々は水資源を守るために漁協女性部で作っていた石鹸を羅臼町のシンボルマーク型にしたもので、「活動から手仕事へ」をテーマに商品化し、羅臼の新たな土産品として販売しています。ただ手作業なので色が悪くなるなど仕上がりが一定にならないのが悩みで、試行錯誤を繰り返しながらの製造です。もうひとつの新たな活動「知床羅臼GARDEN PROJECT」は、吹き付ける潮風や積雪といった過酷な環境で荒れ果てていた花壇にハマナスや豊かな海の源となる木々を植える活動です。町の人も町を訪れる人も笑顔になり、浜にも活力を戻したいという思いで、皆で大切に手入れをしています。
満足度
 町の人達はとても前向きで協力的なので、気軽に声を掛けられる雰囲気があります。そして活動を通じ年代の違う多くの方々との交流が広がることに大きな喜びを感じています。若い世代の女性達も積極的に参加し、意見を出したり新しいことを教えてくれたりするのでとても刺激になり、大変だと思うことも吹き飛ばすくらいのパワーをもらっています。また役場も各団体の男性陣もそれぞれの家庭でも、活動を応援し支えるという温かさがこの町にはあります。だからこそひとつひとつの取組が達成感に満ちあふれ、楽しく活動を続けることができます。せっかく続けてきた活動のバトンを次につなぐことが次の目標です。
これから
 基幹産業である漁業の低迷で、雇用が減少し町外への人口流出が加速していますが、改めて「今できること」を見つけながら、より良い羅臼での生活や潤いある活動を続け、まちづくりの一端を担っていきたいと思います。豊かな自然環境に恵まれた知床羅臼を次の世代に引き継いでいくために、今取り組んでいる石鹸づくりやゴミの減量化、ガーデンプロジェクトを継続しながら、これからも柔軟に、そしてしなやかに新しいものも取り入れつつ、無理なく地道に笑顔で活動を続けたい。コロナが収まったらまた沢山の人に訪れてもらえるよう、羅臼の元気な母さん達が手を携えて、ふるさとを守っていきたいと思っています。
  • 知床スミレ・エコプロジェクトさんイメージ1
  • 知床スミレ・エコプロジェクトさんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

 ひとりひとりの自主的な行動が、地域の活力の礎となり、地域の取り組みが経済活動につながっていきます。これからは「若い世代」に頑張ってもらい、100年先の北海道のために女性の力で地域を盛り上げていきましょう。

 

取材年月日:
2022年2月7日