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道央

有限会社大塚ファーム 取締役副社長、北海道指導農業士 大塚 早苗 さん 【新篠津村】

100年続く農業の歴史を絶やさず次世代へ

1970年生まれ、札幌市出身。高卒後、自動車販売店のショールームアシスタント等を経て、2001年に農家の夫と結婚し新篠津村に移住。有機栽培で22品目の野菜等を栽培し、加工品やインターネット販売、営業を担当している。

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きっかけ
 結婚してすぐに3人の子どもが生まれ、私は子育てに専念していたのですが、その頃私が気になっていたのは、規格外野菜の廃棄が大変多いことと、夏場の農作業の季節雇用者が継続せず2~3年で辞めてしまうことです。夫は農作業や役員業務が忙しく、全然家に帰ってこない!そこで、規格外野菜を使ってプリンを製造しましたが、賞味期限が短くすぐに廃棄になってしまいます。これを軌道に乗せようと、販売の経験がある私が夫に代わって商談会等に売り込みに行き、この頃から私が加工品や営業を担当するようになりました。
苦労
 加工品を確立させるために、数年間かかりました。現在人気商品の「有機ほしいも」ですが、最初は自宅用に作付けしたさつまいもで子どものおやつに作っていたものを商品化したので、大量生産すると固すぎたり甘みがなかったりして、味が安定するまで苦労しました。干し方が足りなくて芋が傷んでしまい、20箱くらい捨てたこともあります。人気商品になってからは、電話での問い合わせに対応しきれず2014年からインターネット販売を実施していますが、子育ての合間で深夜にパソコン作業をするなど、時間のやりくりが大変でした。
満足度
 うちは生産者の顔や取り組みの見える農業をしているので、お客様から「おいしかった」と直接喜びの声をいただくと、大変嬉しく励みになります。大塚家は約100年前から続く農家で、夫で4代目。都市部で育った私が、先祖代々の土地で同じ農業を営むという大きな歴史の流れの一員になれたことに、喜びを感じています。そして、加工品を始めたことで、社員を通年で雇用し生活を支えられること、移住者を増やして村の人口減少対策になっていること等、社会貢献できていることも嬉しいです。私の活動を理解してくれる夫の両親にも本当に感謝しています。
これから
 加工品の種類とハウスを増やして、これからの10年で売り上げを2倍にしたいです!そして、生産、加工、販売をそれぞれ独立させて、将来は3人の息子たちに経営を引き継ぎたいです。農業のセンスって、農家の子どもが一番持っていると思うんです。それを絶やさないために、私たちが持っている土地、施設、ノウハウを息子たちに継承したいです。子どもたちに経営を引き継いだ後は、営業の商談会や新しい取り組みをしている農家、企業等を巡って、自由に旅行したいですね(笑)。
  • 大塚さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

農業は、すごく多様性のある仕事です。農作業をやる人、加工品を作る人、直売をやる人、会社での仕事を続けている人など、今のあなたのままで大丈夫、誰にでもできます。ネガティブなイメージもありますが、興味があればぜひ農業体験に来てください!

 

取材年月日:
2016年10月27日