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道央

株式会社アンジュ・ド・フロマージュ 代表取締役 西村 聖子 さん 【黒松内町】

黒松内の大自然の中で、チーズを囲んだ癒しの時間を

1954年生まれ、札幌市出身。38歳の時にお菓子教室で学び、2001年に札幌市内でサロン・ド・テ「パティスリー・アンジュ」をオープン。紹介で出会った製造技術者と一緒に理想のチーズを求め、黒松内町に拠点を移し2011年に「アンジュ・ド・フロマージュ」を設立。

 ※「サロン・ド・テ」…フランス語で「喫茶店」

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きっかけ
 夫と娘を亡くした経験から、札幌市のサロン・ド・テは、人が多く集う場所にしたくて、食事会もやっていました。チーズは、夫も娘も私も大好きだったので、自分で作ってみたいとずっと思っていて、大学や乳業会社でチーズ作りをしていた製造技術者2人から作り方を習って、食事会でお出しするようになりました。そのうち若い技術者が「もっと本格的にチーズを作りたい」と言いだして、熱意がものすごく強くて(笑)。私ともう1人の技術者も「やってみようか」ということになり、黒松内町の地域再生拠点交流観光実験研究施設の指定管理者に応募して採用されたので、札幌市のお店を閉店して黒松内町に拠点を移しました。今は、実家のある札幌市との二地域居住をしています。
苦労
 黒松内町での最初のチーズ作りが大変でした。2011年7月のグランドオープンに向けて、半年前に移住した若い技術者が試作を重ねていたのですが、使う水や牛乳など、色々な環境が変化することによって、できるチーズの味も違うんです。「これ!」という味になるまで試行錯誤を重ねて、なんとかオープンに間に合わせることができました。黒松内町の地元の方々は、最初は「よそから来て何かやっている」と遠くから見ている感じでしたが、今では「アンジュの応援団」と言ってくれる方々もいて、少しずつ受け入れられているのかなと感じています。
満足度
 黒松内町はとっても良いところで、自然が本当に素晴らしいんです。ここを選んで本当に良かったと思っています。おかげさまでチーズは好評で、近隣市町村に滞在している外国人からの受けも良く、品薄状態が続いています。今は、チーズ作りは製造技術者に任せています。私の担当は、チーズ工房に併設したレストランホールでのお料理とお菓子製造、イベント開催です。札幌市のお店で交流のあった様々な方をお招きして、コンサートや講演会等を開催しています。町外の方に来ていただいて、黒松内町の自然に触れて皆さんが癒されているのを見ると、嬉しい気持ちになります。
これから
 このお店を、ヨーロッパのマナー・ハウスのような、都会の方々が大自然の中で数日間ゆっくり過ごして癒される場所にしたいので、今後は宿泊施設も作りたいと思っています。あと、本州のお客様から羊肉の要望があったので、牧場で羊を増やしたいですね。私は、ホームスパン(羊毛の糸で織った織物)をやりたいと思っています。フェルト加工もやってみたくて、教室などを開いて町内の方も来てくれたらいいなと思っています。今まで、本当に良い人たちに巡り合ってきました。これからも、人との出会いを大切にしていきたいですね。
  • 西村さんイメージ1
  • 西村さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

私は普通の主婦で、札幌市でも黒松内町でも、お店を始めるときは周囲から大反対を受けました。でも、スタートが遅くても大丈夫!思うような結果がすぐには出ないかもしれないけど、選んだ先に道は必ず続いているから。いつでもスタートしてくださいね。

 

取材年月日:
2016年8月16日