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道央

株式会社アンジュ・ド・フロマージュ 代表取締役 西村 聖子 さん【黒松内町】

心を尽くしてつくったチーズやお菓子を、大切な人へ

2001年に札幌市内でサロン・ド・テ「パティスリー・アンジュ」オープン。紹介で出会った製造技術者と一緒に理想のチーズを求め、黒松内町に拠点を移し2011年に「アンジュ・ド・フロマージュ」を設立。

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写真左から工房長の三浦豊史さん、西村聖子さん、販売・製造助手の足立唯さん、農場長の射場勇樹さん

きっかけ
 「人間の五感を活かしたチーズをつくりたい。」そんな思いに賛同してくれた仲間2人と、黒松内を拠点にチーズ工房を立ち上げて、いつの間にか10年。楽しみながら作り続けたチーズは、町のふるさと納税返礼品としての活用、本州の催事でのお褒めの言葉、コロナ下で懸命に任務に励まれている医療従事者の方々への応援ギフトとして採用など、様々な機会を通じて、皆さんのお手元にお届けすることができるようになりました。夫と娘を失った経験から、女性が一人で生きてくことは困難が多いと身をもって感じましたが、同時に応援してくれる人たちが大勢いたから・・・今があります。
苦労
 今年(令和3年)春に、札幌へ新店舗の出店を予定し、開店に向け具体的に準備を始める段階になっていたのですが、種々の事情で白紙となりました。新店舗で一緒に働いて貰う予定だったパティシエ、購入してしまった機材や什器など、開店が白紙に戻ったことで生じた事態を含め、当初の予定とは違う進め方を考えていかなくてはなりません。札幌への出店を決めたきっかけは、独りで暮らす女性の方々が定年など関係なく働き続ける場所、大切な友人たちが集う場所を作りたいという思いだったので、頓挫したことへの戸惑いもありますが、徐々に進めていこう!と考えています。
満足度
 黒松内のサロンで講演会や音楽会をまた、開きたい。コロナ下以前は、札幌からも多くの方が来てくださりコンサートを楽しみながら地域の方々を交え交流したり、親しくしているシェフやワイナリーの方々とワインに合うチーズや料理の勉強会を楽しんでいました。また、毎年春と秋の本州百貨店の催事への出店を楽しみになさり毎回足を運んでくださるお客様と直接お会いしおしゃべりできることがとても嬉しい。こうした様々な縁による人とヒトとの交わり、そして一緒に働く仲間達やいつも私を助け支えてくれている友人達、そういったつながりが、私の人生を満たしています。
これから
 黒松内は豊かな自然に恵まれた素敵な街。この街がもっと元気やヨロコビに溢れ、夢を抱きやりがいを感じられる場所になりますように・・と未来に思いを馳せています。人が集まれば元気が生まれる、夢を語れる。私たちが作るチーズやお菓子をツールに、黒松内と都市部をつなぎ、人とヒトとが関わるきっかけになればと少々、欲張ったり、しています。あとは・・普通にきちんと、暮らしていきたい。札幌への出店は必ず進めていきたいと考えていますが、それが全てではなく、ちゃんと生活し、社会に参加し税金を納め、企業として少しでも経済を回し、自分を応援してくれた大切な人たちを応援したい。
  • 西村さんイメージ1
  • 西村さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

途中まで順調にいっていたことが思わぬところで止まってしまうこともありますが、最初に決めた思いを状況に合わせて変えていきながらも最終的には形にしていく、また形にできなくともその過程が自分の納得に繋がれば、“良”として良いのではないかと考えます。

取材年月日:
2021年11月18日