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道央

洞爺湖有珠火山マイスター  川南 恵美子 さん【壮瞥町】

火山との共生、地域防災を地域とともに全国に発信

1961年生まれ、深川市出身。大学で知り合った夫と1985年に結婚し、「湖畔の宿 洞爺かわなみ」の女将に。2000年の自身の誕生日に有珠山が噴火。2009年、女性第1号の洞爺湖有珠火山マイスターとなる。現在、女性マイスターは8人。

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きっかけ
 北海道大学の岡田弘名誉教授がうちの温泉によく来られていて、ある時「今度、火山マイスター制度というのを始めるよ」とおっしゃいました。「私みたいな普通の人でもなれるんですか」と聞くと「いやいや、むしろ普通の人になってほしいんだよ」と。それ以前に、2000年の噴火で避難生活をした後に、久しぶりの温泉に入って「温泉って火山だな…もっと知らないといけないな」と考えたことがあり、先生の話に「これはなってみよう!」と決め、2009年の試験を受け合格しました。
苦労
 講演する機会が増えてパワーポイントを使うのですが、家族に教わりながら四苦八苦して作っています。2015年9月には「全部英語で発表して下さい」という大会(第4回アジア太平洋ジオパークネットワーク山陰海岸シンポジウム)にも泣きながら参加してきました(笑)。マイスターになった最初の時に「先生方が私たちの地域にしてくれたことに比べれば小さなことしかできない。何でもやります、どこでも行きます」と自分で自分に誓いを立てました。自分の枠をギューっと拡げて応えていかないと、と思っています。
満足度
 マイスターになってからは、噴火口の視察はワクワクしますし、それが高じて、北海道大学の宇井忠英名誉教授らとアメリカやハワイの火山を見に行ったりもしました。日々勉強する中で、防災の課題に気付いたりするなど、以前の自分と比べ大きく変化しました。昨年に御嶽山の噴火があったことで、NHKの日曜討論に出演したり、箱根では講演もしてきました。地元の小学生の自然学習や修学旅行生への火山ガイドなども増え、皆さんのお役に立たせていただいているということが喜びです。
これから
 どの地域でも、さまざまな防災上の悩みがあると思います。それが火山であってもなくても、マイスターの良いところをぜひ真似してほしい。「どんなところを真似したらいいの?」ということであれば、私たちは40人いますので、どんどん訪問してお話をしたい。私たちをもっと使ってほしいと思っています。そして何よりも、もしこの地域でまた噴火が始まりそうになった時に、地域の方々と一緒に2000年の時のように犠牲者ゼロを成し遂げることができたら、というのが一番の望みです。
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北の☆女性たちへのメッセージ

北海道の女性って、すごくバイタリティーのある方たちが多い。火山マイスターは火山との付き合い方を考えようという先駆けですが、いろいろな分野の先駆けとなるような女性たちが、この北の大地から生まれてくれるといいなあと思っています。山ガールが流行りましたが、ぜひ火山ガールにもカモン!

取材年月日:
2015年11月23日