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道東

宿・花ふらり オーナー 藤原 多美 さん【弟子屈町】

元タカラジェンヌの転身、手づくりの料理でおもてなし

1969年生まれ、京都府出身。京都府の堀川高卒業後、宝塚音楽学校に合格し、宝塚歌劇団に入団。1990年に「ベルサイユのばら」で初舞台。14年間にわたって花組の男役のタカラジェンヌとして活躍する。退団後、長年の夢だったペンションを、2006年に阿寒国立公園内に両親と3人で開設する。

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きっかけ
 幼いころからピアノを習っていて、親との約束で高校卒業時の1回だけということで宝塚音楽学校を受験し、合格しました。その後は、タカラジェンヌとして32歳まで舞台に立っていました。北海道には公演で何度か訪れ、その都度、自然の美しさ、雄大さに心を打たれました。厳しい稽古と舞台の合間に行くプライベート旅行では、いつも家庭的な雰囲気のペンションに泊り、心が癒されました。演者としてお客様に喜んでもらうことと、ペンションでのおもてなしが共通するものだな、と気付いたことが、ペンション開設のきっかけです。
苦労
 「北海道でペンション経営なんて成功しないよ」ってよく言われました。確かに、全くの素人がペンションを始めるのは、とても大変なことでした。まずは親交があった京都府のペンションで、食事の修行をしました。調理師免許も取得しました。ペンション探しでは、良い物件がなかなか見つからず、最終的に中古のペンションを購入しました。その後リフォームやインテリアの入れ替えなど、慌ただしく準備を進めました。さらに、幼いころから使っていた思い出のグランドピアノの搬入も大変でしたね。提供する料理のメニューは、今でも奮闘しながら考えています。
満足度
 ペンションから見える釧路川河川敷の風景がとても美しく、皆さん喜んでくれます。周遊旅行の拠点として、夏場は多くの方が宿泊してくれます。リピーターの方との再会も楽しみの一つです。2006年の開業時から、グランドピアノを囲んだ「ミニミニコンサート」を定期的に開催しています。今ではすぐに予約で埋まってしまうほど好評で、音楽を通じた地域の方々との交流に充実感があります。私は、何よりも犬好き。人懐っこい4匹のラブラドールレトリーバーと就寝を共にし、犬たちも一緒に接客してくれるのは幸せですね。
これから
 多くのお客様と地元の農家さんなどの支えもあって、2016年4月で開設10周年を迎えることになりました。これからも、道東地方の魅力を伝えていきたいですね。釧路川でのカヌー体験や、神秘的な雲海が綺麗な摩周湖、屈斜路湖などを多くの方に自ら案内したいと思い、2015年末に旅行業の会社を立ち上げました。今後は、旅客自動車運送業を取得する予定です。さまざまな可能性を探りながら、地域の方々と一緒になって道東観光、さらには地域社会を盛り上げていきたいと思っています。
  • 藤原 多美さんイメージ1
  • 藤原 多美さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

「あきらめない」ことも大事ですが、その前に「頑張っていれば必ず誰かが見てくれている。自分を信じてあきらめない!」が私の元気の素です。人に何を言われようが、まずは自分の意思を信じて、行動することが重要なのかもしれません。立ち止まることなくね…。

取材年月日:
2016年1月12日