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道北

有限会社蝦名漁業部(甘えび専門店海の人) 専務取締役 蝦名 桃子 さん 【羽幌町】

甘えびの価値を上げて、浜に活気を取り戻す

1976年生まれ、羽幌町出身。高校を卒業後、札幌市で就職。地元に戻り、エビかご漁師である夫と2002年に結婚。2013年から蝦名家の漁師飯である「酒蒸し甘えび」を加工販売し、「平成26年度北のハイグレード食品+(プラス)」に選定される。家族は夫と息子が3人(中1、小5、小2)。

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きっかけ
 始めて行った朝の市場に、この町にもこんなに活気がある場所があるんだと感動しました。しかし、漁業は、自分たちで値段を付けることができない世界、燃料や資材が高騰しているのにエビの値段は変わらない、このままでは、漁師の生計が成り立たなくなるし、若い漁師たちも夢がもてなくなる。そこで、甘えびを加工して、その味を全国に届け、甘えびのおいしさを知ってもらうことで、甘えび自体の価値が上がれば、エビ漁師をしている人みんなが喜べると思いました。また、加工の仕事は、子育て中でも都合に合わせた勤務ができるので、漁師の奥さんの雇用の場にもなると思いました。
苦労
 食品加工をすることは初めてのことだったので、施設の検査などわからないことだらけでした。また、加工をやることで漁の手伝いができなくなることに悩みましたが、夫が背中を押してくれました。地元の人の中には、「生の新鮮なエビが食べられる町で、加工したエビなんて売れないよ。」という人もいました。作った商品が売れないことには、新たに商品を作れないし、設備投資などにお金もかかるので、本業である漁業に影響が出ないようにといろいろな商談会に参加して、販路を広げるための努力をしています。
満足度
 「酒蒸し甘えび」がレストランのコース料理やおせち料理にも利用されるようになりました。禁漁期間に漁師達を連れてイベントで、実際に売ってもらうと、最初のうちは黙って見ているだけでしたが、実際に消費者のみなさんに「おいしい。」といって食べてもらえる現場をみることで、自分たちがとったものを認めてもらえたうれしさを感じたようです。これまで、市場に出して終わりだったものが、何のために自分はエビを捕っているのかということがわかることで、若い漁師達が漁業に楽しみをもって沖に向かうようになったと思います。今では自分達からイベントに参加したいというようになりました。
これから
 まだまだ始めたばかりで試行錯誤しています。いろいろと新しい商品の開発も行っていますが、これからもエビの魅力が詰まった、エビの魅力を消さない商品づくりをしていきたいです。そして漁師でもやればできるというところを見せたいし、そうなりたいと思います。将来的な目標は空港で販売されて、それが飛行機の機内食に使用されたりしたらいいなと思います。いつか夢は叶うと思っています。これからも日本一の甘えびを宣伝していきたいです。
  • 蛯名さんイメージ1
  • 蛯名さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

あきらめなければ絶対にできるし、無理だと思っていたことも無理じゃなくなる。一生懸命やって一生懸命人に伝える。正直にまっすぐ自分を出すことで、味方になってくれる人も増えると思います。

 

取材年月日:
2016年10月12日