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道東

SWEETS工房 Maruca(マルカ) 店主 松舘 亜以子 さん【別海町】

田舎でも「無い道は作れる」、夢を叶えてパティシエに

1983年生まれ、別海町出身。バンタン製菓学院(現:レコールバンタン、東京都)を卒業後、辻口博啓氏が経営する「モンサンクレール」に就職。その後、カフェレストランやオーガニックショップ等に勤める。結婚し第二子出産後に別海町へUターン。2012年に「Maruca」をオープン。4児の母。

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きっかけ
 小学生の頃からお菓子づくりが好きで、パティシエになりたいと思っていました。念願が叶って「モンサンクレール」で働き始めましたが、辻口シェフが注目され始めた頃で大変忙しくなり、体調を崩して退職。その後、結婚・出産を機に別海町へ戻り、子育て等でバタバタしてお菓子づくりからは遠のいていましたが、子どもの幼稚園のママ友から「お菓子教室をやらない?」と誘っていただき、また少しずつお菓子を作るようになりました。そのうち、ママ友から記念日のケーキを依頼されるようになり、画像や口コミがSNSで広まって、ケーキづくりが忙しくなりました。「これはもう仕事にしよう!」と、Marucaをオープンしました。
苦労
 まず、食材の確保が大変でした。通常、菓子店では大量に使用する乳製品等の食材を業者に配送してもらうのですが、私は別海町の市街地から離れた尾岱沼地区に工房を構えたので、最初は乳業メーカーから配送を断られ、数件交渉してようやく配送してもらえるメーカーと契約することができました。また、店舗での販売はせずオーダーメイド形式にしているので、出店する時は主に地元のイベントなのですが、価格設定を抑えたつもりでも「高い!」と言われてしまい、良い材料を使った美味しいものの価値・価格を受け入れてもらうのに、少し時間がかかりました。
満足度
 別海町、特に尾岱沼にこだわっているので、地元の方々に喜んでいただけることが本当に嬉しいです。以前、地元中学校に依頼されて講演したのですが、私が尾岱沼で起業したことで、子どもたちに「田舎でも夢を諦めなくて良い」ということを伝えられたことは、良かったと思っています。「私も尾岱沼でケーキ屋さんをやりたい」と言ってくれた子もいました。地域とのつながりを大切に、イベントではマフィンを中心に販売しているのですが、屋台が並ぶ中にスイーツ店が出店していると、特に女性からは好評です(笑)。地元の方々から直接喜びの声を聞くと、やりがいを感じます。
これから
 店名のMarucaは「丸い(Maru)ケーキ(cake)」から付けており、丸いケーキには「誰でも平等に」という意味があるそうです。これからも「多くの方に自分のお菓子を食べて喜んでもらいたい」という思いを主軸に、新作の研究や新たな味の開発など、お客様が求めるものを追求していきたいです。オーガニックや健康に配慮したお菓子も作りたいし、地元の食材を使って付加価値を付けるような、地元食材を飛躍させるようなお菓子も作ってみたい。人生の最終目標としては、Marucaをカフェにして地域の憩いの場にできればいいなと思っています。地元に寄り添いながら、長く続けていきたいです。
  • 松舘さんイメージ1
  • 松舘さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

   夢を叶えたいと思ったら、自分の意志を貫く覚悟が必要です。本当にその時しかできないことがあるし、やり始めたら頑張れるものです。やってみてダメなら他を探せば良いという、軽い気持ちも大事。身近な人が喜んでくれて、幸せな時間が増えるような夢を叶えてくださいね。

取材年月日:
2017年10月27日